ゼニカルとは
ゼニカルとは、タミフル等を製造している事で有名なロシュ社、エフ・ホフマン・ラ・ロシュ(F.Hoffmann-La Roche,Ltd.)の製造する肥満治療薬です。有効成分のオルリスタットは脂肪吸収抑制剤に分類されており、AGA治療薬ザガーロを製造・販売しているグラクソ・スミスクライン株式会社からも有効成分オルリスタットを使用した肥満治療薬Alli(アリ、もしくはアライ)が販売されています。医薬品の世界基準となるFDA(Food and Drug Administration;アメリカ食品医薬品局)でも承認されており、ヨーロッパを始め17ヵ国で処方されています。また近年は海外セレブがダイエット薬として服用していると取り上げられた事から日本でも一気に知られる様になり、需要が高まっています。
ゼニカルの効果・効能
ゼニカルは中性脂肪を脂肪酸とグリセリンに分解する酵素リパーゼの活動を阻害する事で脂質の吸収を妨げ、そのまま分解せず体外へ排出させるはたらきを持ちます。腸管からの脂質の吸収をおよそ30%抑制する効果があり、1年間の服用で60%の方に5%の体重減少、27%の方に10%の体重減少が見られたというデータがあります。
ゼニカルは食事制限、運動を必要としないため、ダイエットに失敗しにくい肥満治療薬として有名です。ゼニカル服用と合わせて食事、運動療法を行っていただく事で更に効果的な肥満治療を行うことが出来ます。
ゼニカルの服用方法
ゼニカルは1日3回食事の直前か、もしくは食事と一緒に服用します。ゼニカル自体の吸収はとても早く、服用2時間後には半減期を迎え満足に効果が発揮出来なくなってしまいます。食前あまり早いタイミングの服用は避け、食後に服用する場合は遅くとも1時間以内には服用するようにお気を付け下さい。
ゼニカルの副作用・服用上の注意点
ゼニカルを服用すると脂質が吸収されず便として排出される様になるため、副作用として軟便や下痢、油分の排出、おならの増加、急な便意や便失禁などがあります。これら副作用は服用開始2~3日後辺りから見られ始める場合が多く、短い方で1週間、長い方ですと4週間程で軽減しますが現れるまでの時間、続く期間には個人差があります。最初のうちは戸惑うかもしれませんが暫く続けると慣れてきますので、症状が落ち着くまではナプキンを使用するなど対応した方が良いかも知れません。
またゼニカルが脂質の分解を抑制する関係で、ビタミンA,ビタミンD,ビタミンEやβカロテンといった脂溶性ビタミンの吸収も妨げられてしまうため、ビタミンの欠乏が起こる場合があります。短期服用であれば問題ありませんが、もし長期に渡って服用する場合は市販のマルチビタミンで構いませんので併用をお勧め致します。その際はゼニカルの効果が現れていない事が望ましいので、ゼニカル服用のタイミングとずらしての使用が良いでしょう。
ゼニカルを服用出来ない方・注意が必要な方
以下の方はゼニカル服用出来ません。
・ゼニカル(オルリファスト)に過敏症の既往のある方
・慢性吸収障害の方
・胆汁うっ滞の方
・甲状腺機能低下症などの器質性肥満の方
・シクロスポリン投与中の方
・ワーファリン、ヘパリン等抗血栓薬を投与中の方
・抗てんかん薬を投与中の方
その他妊娠中の方、授乳中の方の服用は推奨されません。また神経性食欲不振(拒食症)及び過食症の方への処方は不適切とされています。