ザガーロはAGA治療薬では非常に効果的な薬として知られており、フィナステリドの約1,6倍の効果があるとされています。そんなザガーロですが、以前から海外ではジェネリック医薬品が流通していましたが、2020年からは日本でもザガーロジェネリックの処方が開始されています。ジェネリック医薬品とザガーロでは効果・効能に違いなどはあるのでしょうか。
仙台ユナイテッドクリニックでは全てのAGA治療薬のジェネリック医薬品を処方しています。当院では2020年12月ジェネリック医薬品の処方率が98.3%になりました。
AGAとは
AGAとは「Androgenetic Alopecia」の略語で、日本語では「男性型脱毛症」と言われています。成人男性によくみられる症状で頭頂部や生え際の髪の毛が薄くなっていく症状です。最近では若者にもAGAは増えてきています。AGAの主な原因としては男性ホルモンです。通常の男性ホルモンであるテストステロンは問題ありませんが、強力な男性ホルモンであるジヒドロテストステロン(DHT)が問題なのです。DHTは正常な髪の毛のサイクルを狂わしてしまいます。通常のヘアサイクルでは成長期に毛髪が太く、長く成長するのですが、異常な状態だと成長期がすぐに終わってしまい、髪の毛が成長する前に抜け落ちてしまいます。これがAGAが起こるメカニズムです。
DHTは5αリダクターゼという酵素とテストステロンが結びついて生成されます。テストステロンは男性にとって非常に重要なホルモンで、筋肉や肌の艶、髪のハリ、決断力・集中力を高めてくれます。そのためテストステロンを抑制しようとするのは間違いです。もう一つの5αリダクターゼを抑制することがとても大切になってきます。
AGA治療薬
AGA治療薬にはいくつかあり、代表的なものではプロペシア(フィナステリド)、ザガーロ(デュタステリド)、ミノキシジルなどです。2020年に全てのAGA治療薬は特許権が満了し、ジェネリックが処方されています。
○プロペシア
プロペシアの有効成分はフィナステリドです。日本では2005年10月に厚生労働省からAGA治療薬として承認を受け、同年12月、万有製薬(現:MSD社)から発売されました。フィナステリドの効果は5αリダクターゼを抑制する効果があります。5αリダクターゼには1型、2型とあり、1型は側頭部や後頭部の皮脂腺に多く存在し、2型は前頭部や頭頂部の毛乳頭に多く存在しています。フィナステリドは5αリダクターゼ2型を阻害します。フィナステリドを服用することがでジヒドロテストステロンの生成を抑え、AGAの進行を抑えてくれるのです。多くの方には現状維持から軽度改善の効果が期待できます。フィナステリドは日本皮膚科学会が発表したガイドラインには、AGA治療薬推奨度が最高のA評価がつけられました。
○ザガーロ
ザガーロの有効成分はデュタステリドです。グラクソ・スミスクライン(GSK)社から2016年より発売されました。デュタステリドの効果はフィナステリドと同様に5αリダクターゼを抑制する効果があります。違いとしては、デュタステリドは5αリダクターゼ1型2型の両方を抑制してくれます。フィナステリドよりも約1,6倍の効果があります。現状維持だけならフィナステリドで十分ですが、しっかりと発毛までしたい方はデュタステリドを推奨致します。デュタステリドも日本皮膚科学会が発表したガイドラインには、AGA治療薬推奨度が最高のA評価がつけられました。
○ミノキシジル
ミノキシジルは元々血管拡張薬として開発されていましたが、副効用として発毛効果があることが分かり、現在では発毛剤として販売されています。ミノキシジルには直接頭皮に塗布するローションタイプと内服薬のタブレットタイプの2種類があります。ローションタイプとしては大正製薬から販売されているリアップが同じ有効成分のミノキシジルになります。効果としては、毛細血管が拡張し血液が増加しますので、毛母細胞へも血液が多く流れます。血液が多く流れるようになるので、髪の毛に必要な栄養素を十分に送り込むことができるようになります。また毛包にも直接作用しますので、細胞の増殖やたんぱく質の合成を促進させることにより発毛を促します。ミノキシジルも日本皮膚科学会のガイドラインには推奨度Aの評価をつけています。
ザガーロジェネリックとは
ザガーロにはジェネリック医薬品もあり、その効果は同じ有効成分デュタステリドですので同等です。日本には東和薬品のデュタステリド錠「トーワ」がありますが、海外では多数のジェネリック医薬品が処方されています。
○デュプロスト
デュプロストはシプラ社が製造しているデュタステリド製剤となります。シプラ社では多くの医薬品を取り扱っており、世界150ヵ国以上に輸出している大きな製薬メーカーで信頼もあります。シプラ社から製造されているデュプロストの剤型はカプセルとなっており、デュタステリドを0,5mg含有しています。
○デュタス
デュタスはDr.Reddy’s Laboratories社から製造されており、同社は世界でもトップ10に入るジェネリック医薬品会社で信頼もあります。デュタスもデュプロスト同様に剤型はカプセルで、デュタステリドを0,5mg含有しています。
○ベルトリド
ベルトリドはIntas Pharmaceuticals社が製造・販売をしているデュタステリド製剤です。プロペシアジェネリックとして知られているフィナロもこの会社が製造しています。ベルトリドの剤型はタブレットで0.5mgを含有してます。
上記で挙げたようにザガーロジェネリックにはいくつもの種類があります。同じ有効成分のアボルブという薬もありますが、ジェネリック医薬品ではありません。アボルブの有効成分デュタステリドは元々前立腺肥大症の適応症として使用されていましたが、副効用として発毛効果が発見されました。その後デュタステリドはAGAに適応があるということが分かり、新たにAGA治療薬としてザガーロという名前で販売されるようになったのです。適応が異なるだけで全く同じものです。