コラム

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2020.11.10

EDと泌尿器の病

ED(Erectile Dysfunction)は加齢によるものだと思っている方も多いのではないでしょうか。もちろん、歳を重ねるごとにEDになる可能性は高くなりますが、EDの原因は加齢だけではありません。近年では、20代の男性患者も増えています。20代の男性患者の主な原因はストレスや過度の緊張などによる精神的な心因性EDが多くみられます。中高年の男性は、加齢や生活習慣の乱れが原因でなる血流の悪化や生活習慣病などと併発される方も多く、血管障害や神経障害が原因になる器質性EDが原因になる方が多いようです。また、中高年の男性は誰しもが発症する可能性があり、EDの原因にもなる前立腺肥大症や前立腺がん、前立腺炎などの泌尿器の病も高齢になればなるほど発症のリスクが高くなります。今回はEDと泌尿器病の関係についてご説明いたします。

前立腺肥大症

前立腺肥大症は、30代から始まり、50代になると30%、60代で60%、70代で80%、80代で90%と年齢を重ねるごとに発症の割合が高くなります。

症状は、「尿が出にくい」、「尿が出始めるまで時間がかかる」、「排尿の途中で途切れる」などの排尿症状が現れたり、一日に何回と定義はありませんが、昼間に8回より多く排尿する、夜間の就寝後に1回以上排尿のため起きる場合、急に我慢ができない尿意が起こる場合、トイレまで間に合わず尿が漏れてしまうなどの頻尿の症状が現れる畜尿症状。また、排尿後に「尿が残っているような感じがする」、「すっきりしない」などの排尿後症状があります。

原因は、男性ホルモンや性ホルモンが大きく影響しているといわれています。年齢とともに男性ホルモンの分泌が減少し、男性ホルモンと女性ホルモンのバランスが崩れることが主な原因と考えられていますが、具体的にはまだ解明されていません。

治療方法

症状の軽い方であれば薬物療法を行いますが、放置し悪化してしまっている場合は外科手術が必要となることもあります。
①α1受容体遮断薬
薬物療法では、前立腺平滑筋にある、畜尿をコントロールする器官のα1受容体に作用があるα1受容体遮断薬を使用すると、自律神経(交感神経)の信号により緊張している前立腺平滑筋の緊張状態を抑制することによりリラックスさせる働きがあり、前立腺を弛緩させます。そのため、前立腺の尿道圧迫を軽減させ、排尿障害のさまざまな症状が改善されることが期待されます。軽い症状なら早期の改善が望め、継続投与による長期的な改善効果もあることが分かっています。しかし、前立腺を小さくする作用はありません。

②5α還元酵素阻害薬

前立腺細胞に血液中の男性ホルモン(テストステロン)が取り込まれると、5α還元酵素の作用によりジヒドロテストステロンに変換されます。このジヒドロテストステロンが前立腺細胞を増殖させるといわれています。5α還元酵素阻害薬は、前立腺細胞の中で5α還元酵素の作用によりテストステロンがジヒドロテストステロンに変換する作用を抑制し、前立腺細胞の増殖を抑えることができますので、その結果、肥大した前立腺が縮小していきます。この薬は、α1受容体遮断薬と異なり、改善効果が得られるまでに数ヵ月かかりますので、長期間の服用が必要です。また、テストステロンが5α還元酵素の作用によりジヒドロテストステロンに変換されるのを阻害し抑制はしますが、血液中のテストステロンを減少させることはないので、性欲減退や勃起障害などの副作用は少ないといわれています。

③抗アンドロゲン薬

男性ホルモンの一種であるアンドロゲンはテストステロンと同じように前立腺細胞に取り込まれると、前立腺細胞を増殖させる作用があります。抗アンドロゲン薬は、5α還元酵素阻害薬とは作用機序が異なり、精巣からのテストステロン産生を抑制し、前立腺細胞に血液中のテストステロンが取り込まれるのも抑制するため、肥大した前立腺を縮小する働きがあります。また、排尿障害も改善します。しかし、勃起機能に大きく影響するテストステロンの産生を抑制してしまうため、性欲減退や勃起障害の副作用があることが報告されています。

前立腺がん

前立腺肥大症と同じぐらい有名な泌尿器病は前立腺がんです。日本で前立腺がんは男性のがんの中でも4番目に多い病気です。前立腺は、前立腺液を分泌し精子の運動や保護する働きがあります。前立腺がんの治療法は、主に放射線療法、手術療法、ホルモン療法の3つがあります。
放射線療法は、がんの組織以外にも勃起機能に関係する血管や神経にも放射線があたってしまうことにより、勃起機能に影響するといわれています。ホルモン療法では、性ホルモンのバランスが崩れることから性欲の減退の症状が現れます。手術療法の場合は、再発を防ぐためできるだけ多くの部分を摘出することが一般的に行われていますが、勃起機能に関連する部分も摘出されてしまう場合が多く、また血管や神経を損傷するなどにより、術後にEDや射精障害を発症してしまう方が多くいらっしゃいます。

EDの症状は術後、6ヵ月~1年間の期間に徐々に回復するといわれていますが、術前の状態に戻ることは難しいとされています。近年では術後の生活を考えて、可能な限り温存するようにする手術が行われるようになってきました。しかし、がんの程度によっては難しこともあり全摘出をする場合もありますので、手術前に医師とよく相談することが大切です。また、温存したからといっても、EDの症状を発症しないという訳でもありませんので誤解しないようにしましょう。

前立腺以外の泌尿器疾患

このように前立腺肥大症や前立腺がんの他にも、膀胱がん、下部尿路症状、包茎などの泌尿器病はEDは深く関係しています。泌尿器病はEDの原因になることはもちろん、治療の副作用でもEDを発症してしまう原因にもなるのです。ED治療薬は血管の拡張機能を向上させ、血流をよくします。また血管の修復細胞を増加させる作用もありますが、前立腺肥大症治療の第一選択薬の「ザルティア」は、ED治療薬のシアリスの主成分と同じ「タダラフィル」を主成分とした薬です。泌尿器病を患ってEDの症状を発症してしまっている方でも、ED治療薬の服用は可能ですので医師や専門のクリニックで相談してみましょう。仙台ユナイテッドクリニックでは、ED治療薬のバイアグラ、レビトラ、シアリスなど処方しておりますので、一度ご相談にお越しください。

記事監修

2008年
久留米大学医学部医学科卒業
2008年~
福岡大学病院にて卒後臨床研修後、同大学医学部形成外科に入局 (2017年3月退局)
2011年
山口県済生会下関総合病院形成外科
2012年
新小文字病院形成外科
2013年
福岡大学大学院生体制御系専攻入学(2017年3月修了)
2014年~
正樹会佐田整形外科病院形成外科
2016年
九州中央病院形成外科
2017年4月
ユナイテッドクリニック福岡博多院院長就任
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